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トロッコの洞窟

-1-

「ラスが心配?」
そう声がかけられて、ティルははっと我に返った。
父親が手を伸ばしているのに気がつき、あわてて手に持ったロープを渡す。

今、線路が敷き詰められた何とも不思議な洞窟にいる。
湖に沈んだ天空城に行くべく、トロッコを乗り継ぎながら奥へと向かっている途中だ。
しかし、先ほど乗っていた荷車の連結部分が壊れてラスと離れ離れになってしまった。
今先に行ってしまったラス達を追おうと急いで応急修理をしているところだ。

はぐれてしまっただけなら、ここまで心配はしない。
ラスはそこらのモンスターを軽く蹴散らす実力はもっている。
気がかりなのは途中で出会ったプサンと名乗る男の存在だ。

「悪い人ではなさそうなんだけどね。」

父はちょっと困った顔で、そういった。

確かに邪悪な感じはしない。
ただ何かが変なのだ。
体の芯から震えが来る。
この畏怖の正体が何なのかわからないけれど。
それは水を入れすぎて限界ギリギリの水風船を見ている感覚に近いかもしれない。
心臓が異常なほど警戒を訴え、肌が総毛立つ。

また、不安げにレールの先を見つめるティルをみてリュカは困惑顔で微笑んだ。
ティルが不安になる気持ちはわからなくもない。
本人は天空人というが胡散臭さは否定できない。
その上、ラスは全く警戒していない。
不安が晴れそうもないティルの頭をなでると、青い瞳が申し訳なさそうににこっちを見た。

「プックルもついてるし、大丈夫だよ。」

出来るだけ早く合流しようね。

父はそう言って背の足りない私をヒョイと抱き上げてトロッコに乗せてくれた。
どうやら修理は終わったらしい
お父さんがトロッコを押す。
トロッコはコロコロと転がり始めた。
勢いがついてきたところで、お父さんもトロッコに飛び乗る。

軌道に乗ったトロッコは、軽快に暗い洞窟を滑った。

チラリと明かりが見えた気がして、目を向ける。
岩の陰にラスの姿を見つけた。
元気そうな様子にホッと胸をなでおろしたが、プサンの姿も覗いてまた不安が戻ってきた。
ラスとプサンは何かしゃべっているようだった。
プサンが、手を横に広げて何かを語っている。
一体何をしゃべっているのだろう。

走るトロッコは角度を変え、二人の姿は岩に阻まれた。

次に視界が開けたとき、プサンがラスの顔面へと手を伸ばしていた。

その不自然な行動を不信に思っていると、突然ラスの体がカクンと傾いた。
それをプサンが抱き上げる。
ラスの体は得体の知れない男の腕の上でぐったりとしていた。
支えを失った頭が垂れ下がり、腕が力なく揺れていた。

背筋が凍った。

「ラスっ」

ティルが身を乗り出した瞬間、急カーブに差し掛かった。
いきなりかかった横からのGにバランスを失う。
「しまった」と思ったときには、トロッコの外に体が弾き飛ばされた後だった。
叩きつけられると覚悟した時、
大きな手が伸びてきてしっかりと腕を掴んだ。
そのまま力強く引っ張られてお父さんの胸に収まった。
ありがとうかごめんなさいかを言おうと顔を見上げると、お父さんはラスたちの方をジッと見つめていた。
その顔はとても険しくて、ぎゅっと抱きしめてくる腕の力強さに私は胸が詰まった。
この人に抱かれると不安が素直に涙にかわる。

早く、着くのを祈った。



日記連載第2弾。
「ラスとヘンリーと」の続きってわけじゃないので。ごめんね
ストーリーの流れの一部にはなるようにはなってます。
ゲーム内でちょっと物足りなかった
「プサンの得体の知れない恐怖」ってものを書いてみたくなりまして。
さてさてどうなるのでしょう。
プサンファン、マスタードラゴンファンの方は見ない方が良いかもしれません(・ω・`)

 


 

 




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