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トロッコの洞窟

-5-


近づいてくる足音が聞こえた。
どうやら、やっと勇者の父親が追いついてきたようだ。

「ラス!!」
少年と同じ金髪の女の子が飛び出してきた。
倒れているラス君のほうに視線をやったあと、キッと自分を振り返った。

瞬間、胸のあたりに白い光がスパークした。
突然の爆発にプサンの体は後方へ吹き飛び、岩に激突する。

プサンは全身を強かに打ち付けられて
「あいたたたた」と、後頭部を擦りながら起き上がると、眼前に女の子が踊りかかっていた。

両腕にもった杖が左肩に振り上られ、左から右へと殴りつけられた。
マグマの杖は鈍い音を立ててプサンの顔に食い込んだ。
強烈な一撃に横倒しにされる。

振りぬいた杖を引き寄せたティルは、後方に跳び、そのまま天へと持ち上げ魔力をこめて振り下ろした。

マグマの杖は、その名の通りマグマの熱と力を封じ込めた杖だ。
一度その力を解放すれば山を一つ軽く消し飛ばせる威力をもっている。
長年蓄積してきたマグマの力はこの洞窟に入るために使い果たして、今はくすぶる程度の力しかないが、それでも十分な威力をもっていた。
轟音が洞窟中に響き渡った。

熱風が巻き起こる。
すさまじい温度がその場にいる全ての者の肌を擦りながら洞窟中に拡がって薄れていった。

それを呆然と見送る自分の体は、ラス君ティルちゃんの父親の脇に抱えられていた。

マグマの杖から放たれた赤いエネルギー体がぶつかる直前
飛び込んできたリュカさんに救われたのだった。

さきほどまで自分がいた場所は、岩が赤く溶けてえぐられていた。
プサンは青くなった。
この子は今本気で自分を殺しにかかったのだ。

まったく躊躇などした様子もなかった。
忠実に「殺さず」の言付けを守るキラーパンサーは可愛いものだとおもった。
この子は、自分の意思で私を亡き者にしようとしたのだ


攻撃避けた時でも、しっかりと碧い目が自分を追っていた。
着地した自分にツカツカと歩いてきてマグマの杖を顔に押し当てた。
「…ティル」
傍に立っている父親が宥めた。
しかし、女の子はその腕を下げようとはしなかった。

汗が頬をつたう。

裁きの時を待つプサンだったが
途中で変な違和感に気が付いて、杖を突きつけている子を見返した。
女の子の碧い瞳は鋭く自分を見据えている。
が、押し当てられている杖が小刻みに震えているのだ。

そういえば
この子は初めて会ったときから自分を見て脅えていた。
自分の正体を肌で感じているのだ。

大抵の者は気づかない。
相手の力を計る能力に長けた者でも、気づく事はできないだろう。
真の力は他の場所に封じてしまっていて、今の自分は非力な人間となんら変わりはないのだから。
現に、幼い勇者も、その父親も、キラーパンサーですらきづかなかった。

でも、この娘は気が付いている。
この娘は力を計っているわけではないのだろう。
大部分の力は他の場所へと封じていたとしても、それを受け取れるほどの容量は残っているのだ。
それを感じる事が出来るのだとしたら、それがこの小さな人の体に収まっていると言うその異様さに、竜の姿の時以上の恐怖を感じるのではないだろうか。
それでも、虚勢をはっているのだ。

圧倒的な力を前にして、それでも牙をむけることが出来るものはこの世界にどれほどいるだろうか。
それは敬意をはらうに値するものだった。
そしてその全ては双子の兄弟を心配するが故のこと。

「大丈夫。命に別状はありません。ちょっと眠っているだけです」

そう言うと、女の子の唇が一瞬震えて、それがギュッとかみ締められる。
たっぷりと10秒の間が開いて杖が退かれた。
ホッと肩の力を抜こうした瞬間、女の子が振り返り再び杖が突きつけられて、反射的に両手をあげた。
「…ラスに何かあったら許さない」
そう言い残すとタッと少年のところに走っていった。




娘の後姿を見送りながら父親が口を開いた。
「どうも。失礼しました。」
プサンはふうと、本日何度目かの息を吐いた。頬にながれる汗を数回拭う。汗には血も混じっていてそういえば怪我もしていたのだと思い出した。続く恐怖にもう、何処が痛いのか良くわからない。
リュカの言葉に「いえ」とプサンは応えた。
にっこりと微笑みながら、続ける。
「いい子ですね。ラス君のことを本当に心配している」
そう言って、たった今自分を殺そうとした女の子の方をみると、ラスの頭をそっと膝の上にのせて心配そうに顔を覗き込んでいた。プックルがその隣に寄り添う。
二人でその様子をながめる。

「おかげで親の立つ瀬がありませんよ」
完全に自分の立場を娘にとられてしまった父親は、そういって苦笑した。

「いえいえ、やはり育て方が良いのでしょう。」
ちょっぴり寂しそうな響きを聞き取ったプサンがそうフォローした。
「…そうですね。感謝してます」
ワンテンポおくれて、そんな返事が返ってきた。
どういうことです?というプサンの顔を見て、リュカは頭を掻きながら、恥かしそうにそれでいて寂しそうに微笑んだ。
「ずっと離れ離れになっていまして。僕はあの子達と出会ってまだ1年くらいしかたっていないんですよ。」
「そうでしたか。これは失礼を…」
プサンとリュカはそんな他愛もない、会話を一通り交わした。
それだけで先ほどの修羅場を一気に忘れさってしまうような、穏やかな空気が周りをみたしている。
不思議な力だと、プサンは感心した。

「ところで、話戻りますが」
変わらない穏やかな声に、「何でしょう?」と言おうとしたプサンの目の前を
風が通り過ぎた。
真横の壁に放射状にヒビがはいり、砕け散った。
リュカさんを見ると血管が浮き出た太い腕が横へと続き拳が壁にめり込んでいた。

「…今度やったら、ぶち殺す」

前髪の影から覗く瞳の奥に底知れぬ怒りを感じ取って、身動きが取れなくなった。
プサンは精一杯の力を振り絞ってゴクリと唾を飲んだ。
先ほどの二つの殺気など比ではない。
何度も拭ったはずの冷や汗が首筋をいやにゆっくりと流れて気持ちが悪かった。
周りの空気が自分の体ごと凍りついているのではないか錯覚を起こすようなすさまじい冷気。
それは恐ろしかった。本当に。

長い時間が流れた。実際は数秒だったのかもしれないが。
リュカは我が子の方へと体を翻した。
殺気から開放されたプサンはその背中に、深々と頭を下げた。
「すみませんでした」

自分が、人間に対してこうして本気で頭を下げることは今まであっただろうか。
だが然程嫌な気分にはならなかった。
それどころか微笑みたくなるような暖かい気持ちが胸に沸き起こってくる。

ラス君は大丈夫だと。
そう感じた。

 

この幼い勇者に気づいて欲しいと思った。
自分がどれほど周りの者に愛されているかを。

この者達の怒りが、想いが、愛が、

この傷心の子供に届く事を

深く願った。



私、マスタードラゴンあんまり良いイメージがないんですよ。
何にもしないのに、偉そうじゃないですか。

DQ4では、勇者の父親雷落として殺してるし!
打倒魔王という使命押し付けといて。
何故あっちのほうが頭が高いのでしょうね?
こいつ、勇者の事ただの駒としかおもってねーな。と。

しかも、DQ5ではグルグル回ってるし。
20年も!
(いや、長寿の彼にとっては数分と同じ感覚かもしれませんが)
命かけて飛び降りれよ
こいつも「命が惜しい」のだなと感じました。

いろいろ、言いたいことが溜まっていたのですが言えない。
なんてったって『神』ですからね。
そうそう面と向かって異見が言える奴はいない。
しかーし、DQ5では、プサンと言う人間に化けているではないか!
これは、チャンス!!
そうおもって書き始めたのがこの「トロッコの洞窟」
本人と知らないことを良いことに言っちゃえ言っちゃえ!!
しかも、言ってるのは幼い勇者ですから、さすがに目が覚めるでしょう
勇者にだって心はあるんだ。本当は辛いんだ、死ぬのは怖いんだ
自分がどれほど理不尽な事をさせているのか
しっかりその目に焼き付けて貰いましょう。

玉座で仰け反らせたりはさせませんよ。

 


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